【建設アスベスト給付金】石綿ばく露作業従事期間による減額を阻止した事例

 Iさんは、大工として長期間働いてきてアスベストにばく露し、肺がんで亡くなったことにより労災認定を受けました。その後、当弁護団において、建設アスベスト給付金の請求手続を行いました。

 建設アスベスト給付金については、労災認定を受けた後、厚生労働省から「労災支給決定等情報」の交付を受けてから、交付された情報を前提として給付請求を行うのが一般的な流れです。

 Iさんのケースでは、厚生労働省の「労災支給決定等情報」によると、石綿ばく露作業従事期間は6年9ヶ月でした。肺がんが原因の場合、石綿ばく露作業従事期間が10年未満の労働者は給付金の額が10%減額となります。Iさんも、石綿ばく露作業従事期間が10年に満たないことから、建設アスベスト給付金を受けることはできるものの、10%減額となることが想定されました。

 しかし、弁護団において関係記録を精査したところ、Iさんが石綿ばく露作業に従事していた期間はもっと長く、10年を優に超えていると考えられました。それで、この点を指摘した意見書を添付して建設アスベスト給付金を請求したところ、10%の減額を受けない金額の給付金を受領することができました。

 個別の事情によって異なりますが、10%の減額を受けると最大130万円もの差額が発生することになります。「労災支給決定等情報」の記載が絶対的なものではなく、適切な主張または指摘をすることにより、減額を受けない可能性もあります。当弁護団では、すべてのアスベスト被害の救済を目指して裁判を含む様々な活動を行っており、建設アスベスト給付金についても迅速かつ充実した補償をうけることのできるよう取組みを続けております!                                                        

コメント