1 Tさんについて
Tさんは、内装工として長期間働いてきて中でアスベストにばく露し、肺がんを発症したことにより労災認定を受けました。その後、当弁護団において、建設アスベスト給付金の請求手続を行いました。
2 給付金請求について
建設アスベスト給付金請求の一般的な流れは、被災者が労災認定を受けた後に、厚生労働省から「労災支給決定等情報」の交付を受けてから、交付された情報を前提として給付請求を行うというものです。
Tさんのケースでは、厚生労働省の「労災支給決定等情報」に記載している石綿ばく露作業従事期間は、4年2か月間でした。肺がんが原因の場合、石綿ばく露作業従事期間が10年未満の労働者は給付金の額が10%減額となります。そのため、Tさんも、石綿ばく露作業従事期間が10年に満たないことから、建設アスベスト給付金を受けることはできるものの、10%減額となることが想定されました。
しかし、弁護団で関係記録を精査したところ、「労災支給決定等情報」上でTさんが10年未満の石綿ばく露作業従事期間となっていた理由は、Tさんが一人親方の内装工として働いていた期間に労災の適用がなかったことが原因でした。そのため、Tさんが雇用されていた4年2か月の期間のみが、石綿ばく露作業従事期間として労災支給決定等情報に記載されていました。そこで、弁護団は、一人親方の期間も内装工として働いてきたTさんが石綿ばく露作業に従事していた期間はもっと長く、10年を優に超えることから、この点を踏まえた意見書を添付して、建設アスベスト給付金を請求したところ、10%の減額を受けない金額の給付金を受領することができました。
個別の事情によって異なりますが、10%の減額を受けると最大130万円もの差額が発生することになります。「労災支給決定等情報」の記載が絶対的なものではなく、適切な主張立証をすることにより、減額を受けない可能性もあります。
当弁護団では、すべてのアスベスト被害の救済を目指して裁判を含む様々な活動を行っており、建設アスベスト給付金についても迅速かつ充実した補償を受けることができるよう取組みを続けていきます。
建設アスベスト給付金の請求についても、当弁護団にご相談ください。
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