私たち弁護団の取組みは、裁判だけではありません。裁判以外でのアスベスト被害根絶の取組みの1つとして、「なくせじん肺全国キャラバン」(以下、「じん肺キャラバン」といいます。)にも継続的に参加しています。
じん肺キャラバンは、じん肺被害の根絶を目的とした全国的な取組みで、2024年は第35回目でした。近年のじん肺キャラバンでは、アスベスト被害に関する要請の割合が高まっており、弁護団も、原告団や支援者とともに積極的な要請を行いました。北海道では、10月3日にじん肺キャラバン出陣式を行ったのを皮切りに、9自治体(北海道を含む。4自治体は書面での要請です。)、北海道労働局、10労基署に要請を行いました。
今回、ポイントとしたのは、①建物解体時のアスベスト飛散を防ぐための事前調査制度の運用状況、②事前調査逃れを見つけるための簡易な検査方法であるアスベスト・アナライザーが十分普及していないこと、③アスベスト建築物について一般市民が情報を得るためのハザードマップを作成すること、等でした。要請の際になされた意見交換でのやり取りから、行政側のアスベスト問題に対する取組みの不十分さが浮き彫りになりました。
行政は、私たちの要請事項に対してすぐに対応することはまれですが、問題の存在を認識させ、問題が継続していることを示すことにより、制度や運用の改善につながります。また、要請を続けていく中で、建設アスベスト給付金制度の創設など、国の制度の進んできておりますので、今後も継続的な取組みを続けてまいります。
10月28日には、全国のキャラバン隊が東京に集結し、各地の行動について報告するとともに、じん肺被害の根絶に向けての意気込みを新たにしました。また、各地の要請行動の総まとめとして、東京の省庁に対する要請行動を行いました。
今年の要請行動の際の回答を踏まえて来年以降の要請を行います。同じ年度の中でも、地域格差の是正・解消に向けた取組みもありますので、じん肺キャラバンの取組みは、全国的に継続した活動としてつながっています。すべてのアスベスト被害の根絶に向けて、裁判外でも取組みを続けておりますので、どうかご理解とご支援をお願いします!
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