【建設アスベスト訴訟】第2陣訴訟控訴審判決(札幌高等裁判所)とその後について
1 北海道建設アスベスト第2陣訴訟は、令和4年4月28日に札幌地方裁判所で言い渡された第1審判決に対して控訴を行い、札幌高等裁判所における控訴審を闘ってきました。
2 そして、令和6年9月26日に、控訴審(第2審)の判決が言い渡されました(なお、第三陣訴訟の第1審判決が同月の9月20日に言い渡されたので、二つの判決が9月中に立て続けに言い渡されることになりました)。
控訴審判決の概要は、以下のとおりです。
- 第1審判決は、被告企業5社に損害賠償の支払義務を認めていましたが、控訴審判決はこのうち3社の企業(株式会社エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント株式会社、ニチアス株式会社)のみに損害賠償の支払義務を認め、残る2社(株式会社エム・エム・ケイ、株式会社ノザワ)の支払義務を否定しました。
- 第1審判決で企業に勝訴した原告については、控訴審判決でも企業の支払義務を認め、一部の原告については支払われるべき損害賠償の金額を増額しました。そして、判決で支払いが命じられた損害賠償の総額は約1億1550万円に及びます。
- 第1審判決で企業に敗訴した原告については、控訴審判決でも同様に企業の損害賠償の支払義務を否定しました。
3 控訴審判決の特徴として、第1審判決の内容をほぼそのまま踏襲しており、控訴審における原告側の数々の主張に対しても明確な判断を示していない箇所が多数存在します。
特に、第1審で敗訴した原告について、弁護団は改めて企業の責任を強く主張してきたにも関わらず、控訴審判決ではほとんど理由を述べずに再度敗訴させており、これは許されるものではありません。
更に、第1審判決で責任が認められた2社の企業の責任を否定している点も、アスベスト被災者の救済範囲を狭める内容となっています。
4 弁護団としては、原告の皆様と相談した上で、最高裁判所での最終判断を仰ぐべく、控訴審判決に対して上告受理の申立てを行いました。
一方で、控訴審判決で敗訴した企業3社も、判決を不服として上告ないし上告受理申立てを行い、最高裁まで争う姿勢を示しています。
長く闘ってきた第2陣訴訟も、いよいよ最高裁判所での審理となります。
最後の結論が出るまで、引き続き応援をよろしくお願いいたします。
(弁護士 齊藤佑揮)
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