【建設アスベスト給付金】石綿ばく露従事期間による減額を回避できた事例(その4)

1 Nさんについて

 Nさん(70代、男性)は、大工として40年以上働いてきた中でアスベスト粉じんを吸ってしまい、肺がんを発症しました。この肺がんにより労災認定を受けており、今回、当弁護団で代理して建設アスベスト給付金の請求手続を行いました。

2 Nさんのケースの問題点
 先行して労災は認定されていましたが、労災の手続き自体は家族の協力の下ご自身でされていたため、アスベストにばく露した作業内容についての記載が不明確な部分がありました。特に20代で独立して一人親方になった後の作業内容については何ら記載されていませんでした。理由を挙げるとすれば、労災の認定そのもののために、一人親方時代の作業内容は必要不可欠というわけではないためだと思われます。
 労災認定はされているのに一人親方時代の作業が書かれていないというのが本ケースの問題でしたが、具体的に給付金請求にどのような影響があるのでしょうか?
 Nさんのケースで影響が出てくるのは「期間減額」です。期間減額とは、厚生労働省の「労災支給決定等情報」に記載されている石綿ばく露作業の従事期間が一定年数に満たない場合給付金の金額が減額されるというのものです。肺がんを発症したNさんの場合、石綿ばく露作業従事期間として10年が必要になります。しかし、労災支給決定等情報上では、Nさんの石綿ばく露作業従事期間は6年弱程度となっており、必要な10年に満たない状況でした。そのため、100万円を超える減額がされてしまうおそれがありました。

 しかし、Nさんは一人親方として独立した後も石綿ばく露作業に従事し続けており、その通算期間は優に10年を超えます。減額を回避するため、当弁護団において追加調査と立証活動を行った結果、無事期間減額されることなく給付金を受け取ることができました。
 このように、労災記録上不利な方であっても、給付金が減額されずに受け取れる可能性があります。建設アスベスト給付金請求をお考えの方は是非私たちに相談してください!

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