アスベストと健康被害について
⑴ アスベストとは何か
アスベスト(石綿)は「せきめん」「いしわた」とも呼ばれる、天然鉱物です。
アスベストは、髪の毛の5000分の1という極めて細い繊維で、熱・摩擦・酸やアルカリなどの薬品にも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っています。
また安価であることから、「奇跡の鉱物」とも言われていました。

アスベスト(石綿)繊維は極めて細い繊維であることから、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されてヒトの肺胞に沈着しやすい特徴があります。吸い込んだ石綿の一部は痰に混ざって体外へ排出されますが、石綿繊維は丈夫で変化しにくい性質があることから肺の組織内に滞留することになります。
この体内に滞留した石綿が要因となって、肺がんや中皮腫などの病気を引き起こすことがあります。
石綿による健康被害は、石綿を吸ってから長い年月を経て出てきます。中皮腫は平均35年という長い潜伏期間の後に発病することが多いとされています。

⑵ アスベストが使用されていた場所
アスベスト(石綿)は安価であり、耐火性・断熱性・防音性・絶縁性・耐薬品性という特質を持つことから、アスベストは私たちの生活のあらゆるところで使用されてきました。
主な用途は、建材製品(※1)と石綿工業製品(※2)に分けられ、その8割以上は建材製品です。アスベストにばく露する主たる職場としては、建設現場、石綿製品の製作工場、造船所等があります。
※1 建材製品
耐火被覆、吸音・断熱のための石綿吹き付け材、石膏ボード、スレート板、吸音板、外壁材、Pタイル、煙突など




※2 石綿工業製品
自動車のクラッチやブレーキなどの摩擦材、接続部分からの流体の漏洩防止用のシール材、ガスケット・パッキンなど


⑶ アスベストにばく露した可能性がある人、職種
建設現場でこのような作業をしていた方は、アスベストにばく露したことを理由に給付金(賠償金)を受け取れる可能性があります。
① 昭和50年10月1日~平成16年9月30日の間に屋内で建設作業に従事した方
例えばこんな方
大工、吹付工、保温工、配管工、電気工、電気保安工、内装工、建具工、左官工、塗装工、タイル工、ダクト工、空調設備工、鉄骨工、溶接工、ブロック工、鳶工、墨出し工、型枠大工、はつり工、築炉工、エレベーター工、サッシ工、シャッター工、現場監督等
又は、昭和47年10月1日~昭和50年9月30日の間に石綿の吹付作業に従事した方
② 中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水と診断された方又はその遺族(ご家族)
⑷ アスベストを原因とした病気
石綿を吸うことにより発生する疾病としては主に次のものがあります。
労働基準監督署の認定を受け、業務上疾病とされると、労災保険で治療できます。

① 中皮腫
肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜などにできる悪性の腫瘍です。中皮腫のほとんどは石綿ばく露が関与しています。
石綿ばく露から発症までの潜伏期間の多くは40年前後と非常に長い疾患です。中皮腫の発生の危険は石綿の累積ばく露量が多いほど高くなります。しかし、石綿肺、肺がんより低濃度でも危険性はあり、職業的なばく露だけでなく、家庭内ばく露、近隣ばく露による発症もあります。
② 肺がん(原発性肺がん)
肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。石綿ばく露から肺がん発症までの潜伏期間の多くは30~40年程度と長くなっています。石綿の累積ばく露量が多いほど肺がんになる危険が高くなることが知られています。
③ 石綿肺
石綿を大量に吸入することにより、肺が線維化する「じん肺」という病気の一つです。肺の線維化が進行していき、酸素-炭酸ガスの交換を行う機能が損なわれるため、呼吸困難が生じます。通常、石綿を職業性に大量に吸入ばく露した労働者に起こり、石綿ばく露開始から10年以上経過して石綿肺の所見が現れます。
④ 良性石綿胸水
胸水とは胸腔内に体液が貯留することであり、石綿以外の様々な原因によっても生じます。とくに、石綿粉じんを吸入することによって、胸腔内に胸膜炎による滲出液(胸水)が生じる場合を良性石綿胸水と呼びます。
比較的高濃度の石綿粉じんを吸入することによって生じ、発症までの潜伏期間は平均12~30年と、他の石綿関連疾患より短い方です。
⑤ びまん性胸膜肥厚
臓側胸膜(肺を覆う膜)の慢性線維性胸膜炎の状態であり、通常は壁側胸膜(胸壁を覆う膜)にも病変が及んで両者が癒着していることが多いです。胸膜プラークと異なり、びまん性胸膜肥厚は結核性胸膜炎など石綿以外の様々な原因によっても生じます。良性石綿胸水と同様に比較的高濃度の石綿の累積ばく露により発症すると考えられています。職業性ばく露によるびまん性胸膜肥厚症例での石綿ばく露期間はおおむね3年以上になります。
⑸ アスベストの自覚症状
アスベストに暴露した可能性のある方で、以下のような自覚症状が出た場合には、アスベスト専門病院で診察を受けることをお勧めします。

- 息切れがひどくなった
- 胸が痛い
- 咳や痰が増えた
- 痰の色が変わった
- 痰に血が混ざる
- 激しい動悸がする
- かぜをひいてなかなか直らない
- 微熱が続く
- 就寝時に横になると息が苦しい
⑹ アスベストが原因で病気になった場合にはどうするの?
北海道労働局は、石綿健康管理手帳による健康診断を、以下の19の病院に委託しています。手帳を持っていない方は、自費で健康診断を受けることになります。
診察を受ける際には、必ず、どこでアスベストを吸った可能性があるかを申告してください。

