健康管理手帳は、ガンその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務について、離職の際、または離職の後に、都道府県労働局長から交付される手帳です。
1 健康管理手帳が交付されると、どんないいことがあるの?
健康管理手帳の交付を受けると、指定された医療機関等で、定められた項目による健康診断を決まった時期に無料で受けることができます。
- 石綿(11号)健康管理手帳の場合
指定機関で指定項目についての定期健康診断を年2回(6か月に1回)無料で受診できます。 - じん肺(3号)健康管理手帳の場合
管理2:指定機関で肺がんについての定期健康診断を年1回無料で受診できます。
管理3:指定機関で指定項目についての定期健康診断を年1回無料で受診できます。
1と2の健康管理手帳は、両方とも交付される可能性もあります。
2 石綿(11号)健康管理手帳は、どのような場合に交付されますか?
対象業務の類型に応じて、以下の場合に交付されます。
I 直接業務(各種の石綿製品の製造作業、車両や船舶等の区切られた空間で石綿を取り扱う作業、石綿製品が使用されている建物等の解体作業)に従事していた場合
1から3のどれかに該当すれば、交付されます。
- 両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は、石綿による胸膜肥厚があること
- 次の作業に1年以上従事していたこと(ただし、初めて石綿の粉じんにばく露した日から11年以上経過していること)
- 石綿製品の製造作業
- 石綿が使用されている保湿材、耐火被覆材等の張付け、補修もしくは除去の作業
- 石綿の吹付けの作業または石綿が吹き付けられた建築物、工作物等の解体、破砕等の作業(吹き付けられた石綿の除去作業含む)
- 2以外の石綿を取り扱う作業(直接業務)に10年以上従事していたこと
II 周辺業務(石綿製品を製造している工場内で、事務員や出入り業者として直接石綿を取り扱わない作業、石綿の吹き付け作業が行われている建設現場で、直接石綿を取り扱わない作業)に従事していた場合
「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は、石綿による胸膜肥厚があること」により、交付されます。
3 じん肺(3号)健康管理手帳は、どのような場合に交付されますか?
じん肺(3号)健康管理手帳は、次の2つが認められれば交付されます。
- じん肺法第2条第1項第3号に規定する粉じん作業に係る業務に従事していたこと
- じん肺法の規定により決定されたじん肺管理区分が管理区分2または管理区分3であること
4 申請手続きは難しくないですか?
申請手続きに必要なものは、次のとおりです。
申請書類は、労働局又は最寄りの労働基準監督署で取り寄せられます。労働局のホームページからもダウンロードできます。
1 健康管理手帳交付申請書
2 従事歴申告書
3 石綿業務に従事していたこと及び従事期間を証明する以下の書類
- ①事業者の証明が得られる場合
事業者証明書(従事歴証明書の事業者用) - ②事業者の証明が得られない場合
本人申立書及び同僚証明書(従事歴証明書の同僚用)2名以上 - ③1も2も得られない場合
本人申立書及び以下のいずれか- 社会保険の被保険者記録照会回答票
(社会保険事務所で入手できます。) - じん肺健康診断結果証明書の写し
- 雇用保険の証明書
- 給与明細
- その他、本人申立書の記載を裏付ける客観的な資料
- 社会保険の被保険者記録照会回答票
4 「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は、石綿による胸膜肥厚があること」で申請する場合
- 胸部レントゲン写真
- CT写真
- 診断書
このように、申請書類が多く、資料の収集が大変な方もいらっしゃるかも知れません。
そのような場合には、お気軽に弁護団にご相談ください。